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リスキルAIキャリア編集部
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類推プロンプトとは、AIに「似た問題と解き方」を先に自作させてから、本題を解かせるプロンプト手法です。数学・コードレビュー・原因分析など、手順を組み立てるタスクで使います。要約・翻訳・単純な分類では、出力が長くなるだけで効果は薄いです。
この記事では、CoT・Few-shotとの違い、使うべき条件、コピペできるテンプレ、PEP検定対策で押さえる判断基準まで整理します。提案論文ではGSM8Kで0-shot CoTの75.0%から77.8%へ改善しましたが、差は+2.8ポイントです。過信する手法ではありません。この記事は2026年8月時点の情報です。
類推プロンプトとは?結論と向き不向き

類推プロンプト(Analogical Prompting)は、AIに似た例題を自分で作らせ、それを手がかりに本題を解かせる手法です。人が応用問題を解く前に基礎問題を思い出す発想を模倣しています。
Few-shotとの違いは、例題を人間ではなくAIが作る点です。手動で模範解答を書かなくても、モデルが関連する例を生成して解きます。良い例が手元にないときに、Few-shot風の精度を狙うのが役割です。
向くのは、複数ステップの推論を組み立てるタスクです。単純なタスクや推論特化モデルを使う場面では、効果が薄いか逆効果になります。判断基準は後半のスコア表で示します。
向く人・向かない人の早見リスト
- 向く人:数学・論理・コード生成など複数ステップの推論を扱う
- 向く人:Few-shot用の良い例題を用意する時間がない
- 向かない人:分類・要約・翻訳など単純タスクが中心
- 向かない人:推論特化モデルで十分な精度が出ている
- 向かない人:出力の再現性・一貫性を最優先したい業務
同じ課題で比較:CoT・Few-shot・類推プロンプト

3手法の違いは、同じ課題に並べると掴めます。課題は「売上低下の原因分析」です。データは1月 売上120万円・CVR2.8%・流入10,000、2月 売上105万円・CVR2.1%・流入10,200、3月 売上98万円・CVR1.9%・流入10,500とします。
CoTの場合
以下のデータから売上低下の原因を、段階的に考えて分析してください。
【データ】
1月 売上120万円 CVR2.8% 流入10,000 …
特徴は3点です。手順を分解しやすい。例は与えない。出力は短めです。
Few-shotの場合
以下の例と同じ形式で分析してください。
例:流入が減りCVRが横ばいなら、主因は集客量低下と考える。
確認項目:広告配信量、検索順位、SNS投稿頻度。
本題:…
特徴は3点です。出力形式を固定しやすい。人間が良い例を用意する必要がある。業務の型があるなら強いです。
類推プロンプトの場合
このデータを分析する前に、
似た売上低下パターンを3つ作り、それぞれ原因の見立て方を説明してください。
そのうえで、本題の売上低下原因を分析してください。
【データ】…
特徴は3点です。例をAIが作る。手元に良い例がないときに使える。出力が長くなり、誤った類推に引っ張られるリスクがあります。
| 手法 | 例題の用意 | 準備コスト | 向くタスク |
|---|---|---|---|
| Few-shot | 人間が手動で記述 | 高い(良い例が必要) | 出力形式を固定したい定型作業 |
| CoT | 例題なし・思考を促す | 低い(一文追加) | 多段の論理・計算 |
| 類推プロンプト | AIが自動生成 | 中(指示は簡単だが出力が長い) | 例が思いつかない推論タスク |
| 知識生成 | AIが関連知識を生成 | 中 | 背景知識が要る問題 |
使い分けの基本は、良い例を持っているならFew-shot、持っていないなら類推プロンプトです。各手法の詳細はFew-shotプロンプトとは?精度を上げる例文と使わない基準、思考の連鎖プロンプトとは?2026年の使いどころと書かない基準、知識生成プロンプトとは?RAGとの違いと使わない基準を合わせて読むと選択の精度が上がります。
類推プロンプトの仕組みと論文の根拠

類推プロンプトは、Google DeepMindとStanford大学の研究チームが提案しました。出典は Yasunaga et al.「Large Language Models as Analogical Reasoners」(arXiv:2310.01714)です。arXiv公式ページとICLR 2024のOpenReviewページで確認できます。
仕組みは2段階です。第1に「この問題に関連する例題を3〜5個、自分で作って解け」と指示します。第2に、その自己生成した例題を踏まえて本題を解かせます。人が例を渡す代わりに、モデルの内部知識から例を引き出すのが核心です。
検証範囲はGSM8K(算数文章題)、MATH(数学)、Codeforces(競技プログラミング)、BIG-Bench(多様な推論)です。本文の精度比較は、論文の実験結果テーブルに基づきます。GSM8Kは0-shot CoTの75.0%に対し、類推プロンプトが77.8%と報告されています。MATH・Codeforces・BIG-Benchの個別数値は上記テーブルで確認してください。
改善幅は小さい、を最初に押さえる
数値を辛口に読むと、GSM8Kの改善は+2.8ポイントです。統計的に意味があっても、体感で劇的に賢くなる差ではありません。魔法の呪文ではなく、例題設計の自動化ツールと捉えてください。
類推プロンプトのコピペテンプレと書き方手順

書き方は3ステップです。手順どおりに指示を組み立てれば、専門知識なしで再現できます。
- 関連する例題を3〜5個、自分で作らせる
- 各例題を解かせる(解法プロセスを明示させる)
- その例題を踏まえて本題を解かせる
| 用途 | テンプレ |
|---|---|
| 汎用 | 次の問題を解く前に、関連する例題を3つ作り、各解法を示してください。その後、例題を踏まえて本題【本題を記入】を解いてください。 |
| コードレビュー | このコードをレビューする前に、似た実装で起きやすいバグを3例挙げ、原因と対策を書いてください。その上で【コード貼付】をレビューしてください。 |
コツは例題を3〜5個に絞ることです。多すぎると出力が冗長になり、コストと時間が増えます。例題は3個前後が精度とコストの最適点です。論文でも例題数を増やした効果は頭打ちになると報告されています。
「知っている」で止めない生成AIスキルの証明|PEP検定
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監修|北海道大学大学院 情報科学研究院 川村 秀憲 教授
人工知能・マルチエージェントシステム研究の第一人者。観光情報学会理事ほか。
実際の入出力例3本
テンプレだけでは結果を想像しにくいため、入力と期待される出力を3本示します。
実例1:副業案件の提案文改善
提案文全体を類推で作らせると一般論に流れます。良い使い方は、失注パターンを類推させて改善点を出すことです。
あなたは副業案件の提案文をレビューする担当者です。
本題を評価する前に、似た提案文で失注しやすいパターンを3つ作り、
それぞれ「なぜ失注するか」「改善策」を書いてください。
そのうえで、以下の提案文をレビューしてください。
【提案文】
私は生成AIを使った記事作成ができます。SEOも対応可能です。
納期は相談可能です。よろしくお願いいたします。
期待される出力の要点です。
- 実績・対象業界・成果指標がない
- 「SEO対応可能」が曖昧
- 納期・作業範囲・修正回数が不明
- 改善後の提案文まで出させる
実例2:Excel・スプレッドシート分析
次の売上データを分析する前に、
似た売上分析で使う典型的な分析パターンを3つ作ってください。
各パターンについて「見る指標」「計算方法」「注意点」を書いてください。
そのうえで、以下のデータから売上低下の原因仮説を出してください。
【データ】
2024年1月 売上120万円 CVR2.8% 流入10,000
2024年2月 売上105万円 CVR2.1% 流入10,200
2024年3月 売上98万円 CVR1.9% 流入10,500
期待される出力の要点です。
- 流入は増えているのにCVRが低下している
- 売上低下の主因は集客量ではなく転換率
- LP・オファー・フォーム離脱を確認する
- AIの計算結果は必ず人間が検算する
実例3:コードレビュー
次のコードをレビューする前に、
似たコードで起きやすいバグを3つ挙げ、
それぞれ原因と修正方針を書いてください。
そのうえで、以下のPythonコードをレビューしてください。
def average(nums):
total = 0
for n in nums:
total += n
return total / len(nums)
期待される指摘です。
- 空リストでZeroDivisionError
- numsがNoneの場合にTypeError
- 数値以外が混じる場合の扱いが未定義
類推プロンプトを使わない基準・逆効果になる場面
次の条件に当てはまるなら、類推プロンプトは避けてください。自己生成例がノイズや誤情報になりやすいためです。
- タスクが単純(分類・抽出・要約・翻訳)→ 自己生成例が冗長になる
- 出力トークンを節約したい → 例題生成で出力量が膨らむ
- 再現性が最優先 → 生成される例題が毎回変わる
- 専門性が高くモデルが例を誤生成する → 誤りが本題を汚染する
とくに危険なのは4番目です。モデルが誤った例題を作ると、その誤りを前提に本題を解き、精度が下がります。法務・医療・社内固有ルールなど、知識が薄い領域では逆効果になりやすいです。
使うか迷ったら判定スコアで決める
自分の業務に当てはめられるよう、判定表を用意しました。合計点で判断してください。
| 判定項目 | 点数 | 理由 |
|---|---|---|
| 答えまで3ステップ以上の推論が必要 | +2 | 類推が効きやすい |
| 似た過去例を人間が用意できない | +2 | Few-shotの代替になる |
| 出力が長くなっても問題ない | +1 | 例題生成でトークンが増える |
| 正解・不正解を人間が検証できる | +1 | 誤った類推を止められる |
| 要約・翻訳・単純分類である | -2 | 類推がノイズになりやすい |
| 医療・法務・社内規程など高リスク | -3 | 誤った例題が危険 |
| 推論特化モデルで十分な精度が出ている | -2 | 追加する意味が薄い |
判定基準は3段階です。3点以上なら試す価値あり。1〜2点なら通常プロンプトやCoTと比較してから判断。0点以下なら使わない、です。
トークン・コスト増の目安
類推プロンプトは出力量が増えます。たとえば通常プロンプトで500字返るタスクでも、類推プロンプトでは例題3つと各解法、本題回答が出るため1,200〜1,800字程度になることがあります。API利用や長文レビューでは、この差がそのままコストと待ち時間になります。
| 指示 | 出力内容 | 出力量の目安 |
|---|---|---|
| 通常プロンプト | 本題の回答のみ | 1倍 |
| CoT | 手順+回答 | 1.2〜1.5倍 |
| 類推プロンプト | 例題3つ+解法+本題回答 | 1.5〜3倍 |
この倍率は出力構成から見積もった目安です。実際の課金額は、使うモデルの単価・入力文の長さ・出力文字数で変わります。正確なコストは、同じ入力で通常プロンプトと類推プロンプトを走らせ、出力トークンを比較して測ってください。
推論特化モデル時代の再評価
2026年8月時点で、類推プロンプトの上乗せ効果は小さくなる可能性があります。理由は、推論特化モデルが複雑な問題に対して長い推論過程を扱う設計になっているためです。OpenAIの o1・o3 は、公式に推論モデルとして説明されています(OpenAI公式ドキュメント)。
ただし、内部で何をしているかは外部から確認できません。「類推プロンプトは不要」と断定せず、まず通常プロンプトで試し、精度不足のときだけ追加する順序が安全です。先にテクニックを盛るとトークンとコストを無駄にします。
PEP検定対策では「手法名」より「使い分け」を覚える
類推プロンプト単体の暗記では弱いです。CoT・Few-shot・知識生成・RAGとの違いを説明できる必要があります。実務問題では「このタスクならどのプロンプトを選ぶか」が問われやすいためです。
受検前に、次の4点を整理してください。
- Few-shot:良い例を人間が用意できるとき
- CoT:段階的な推論を促したいとき
- 類推プロンプト:良い例がないが、似た問題をAIに作らせたいとき
- 知識生成:背景知識を先に出させたいとき
この使い分けの判断力は、PEP検定でも実務でも中核スキルです。出題範囲・費用・学習順を先に確認したい人は、プロンプトエンジニアリング資格の選び方|PEP検定を費用と範囲で比較で全体像を掴んでください。
よくある質問
類推プロンプトとFew-shotはどちらが精度が高いですか?
良い例題を用意できるならFew-shotが有利です。類推プロンプトは、例題作成の手間を省きつつ近い精度を狙う位置づけです。例が思いつかない場面での代替と考えてください。
類推プロンプトはどのモデルで使えますか?
指示文だけで実装するため、原理上どのチャット型モデルでも使えます。効果は世代差が大きく、推論を内蔵したモデルでは上乗せが小さくなります。
改善幅が小さいなら使う意味はありますか?
意味があるのは限定条件です。複雑な推論タスクで、かつFew-shot用の例を用意できない場合に価値が出ます。単純作業や推論特化モデルでは、コスト増に見合わないことが多いです。
論文の一次情報はどこで読めますか?
arXivで公開されています。Yasunaga et al.「Large Language Models as Analogical Reasoners」(arXiv:2310.01714、ICLR 2024)です。GSM8K・MATH・Codeforces・BIG-Benchの検証テーブルが載っています。
PEP検定対策では類推プロンプトをどう覚えればいいですか?
「AIに似た例題を作らせてから本題を解かせる手法」と覚えてください。Few-shotは人間が例を用意し、CoTは例を作らず段階的な推論を促します。定義だけでなく、どのタスクなら使うか・使わないかまで整理してください。
実務ではCoT・Few-shot・類推プロンプトのどれから試すべきですか?
まず通常プロンプトで試します。失敗したら、手順の抜けが問題ならCoT、出力形式のブレが問題ならFew-shot、良い例を用意できない推論タスクなら類推プロンプトを使います。最初から全部盛りにすると、出力が長くなり検証も難しくなります。
「知っている」で止めない生成AIスキルの証明|PEP検定
PEP検定が問うのは基礎的な知識はもちろん、実務においてどのように生成AIを活用するか、プロンプトを設計するかなど“実際に使いこなす力”です。日本初の実務特化検定で、AIエージェントのように動きの速い領域もシラバスが追従。学び直しの成果を、転職・副業・社内評価で通用する客観的な根拠に変えられます。
- ✓知識で止めず、プロンプト設計など“手を動かして使う力”を測る
- ✓CBTで全国いつでも受験可能
- ✓個人の転職・副業から、社員のリスキリング成果の証明まで対応
監修|北海道大学大学院 情報科学研究院 川村 秀憲 教授
人工知能・マルチエージェントシステム研究の第一人者。観光情報学会理事ほか。
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