この記事の監修者
リスキルAIキャリア編集部
リスキルAIキャリアは、AI時代の学び直し・キャリア形成・副業・転職に役立つ情報を発信するWebメディアです。編集部では、生成AIスキルの身につけ方、AI関連スクール・講座の選び方、キャリアアップにつながる学習方法などを、実務目線でわかりやすくお届けしています。
結論から言います。Rephrase and Respond(RaR)は、あなたの曖昧な質問をAIに言い換えさせてから答えさせるプロンプト技術です。質問の意図がぼやけているときにだけ効き、意図が明確な定型作業では逆効果になります。
この記事は「プロンプトを変えても結果が安定しない」と悩む社会人向けに書きます。RaRの仕組み、One-step版とTwo-step版の使い分け、使わない基準、副業・転職タスク用のコピペ雛形、そして自分で効果を測る検証手順まで一気に示します。
先に向き不向きを正直に伝えます。RaRは「要約して」「メール返信を書いて」のような漠然とした依頼で伸びます。逆に手順が決まった定型作業や専門特化の指示では、余計な言い換えが精度を下げます。読み終える頃には、自分のタスクで使うべきか判断できます。
Rephrase and Respond(RaR)とは?曖昧な質問をAIに直させる技術

Rephrase and Respondは、AIにまず質問を言い換えさせ、その言い換えた質問に答えさせる手法です。人間の曖昧な問いと、AIが理解しやすい問いの間にあるズレを、AI自身に埋めさせます。
元になったのはUCLAなどの研究チームによる論文『Rephrase and Respond: Let Large Language Models Ask Better Questions for Themselves』(arXiv:2311.04205)です。「AI自身により良い問いを立てさせる」という発想が、この手法の核心です。
RaRの意味と仕組み
RaRの仕組みは2段階です。第1段階でAIが元の質問を明確な形に言い換え、第2段階でその言い換え版に回答します。人間が質問を書き直す手間を、AIに肩代わりさせる形です。
曖昧さが減る理由は、AIが自分の解釈を先に言語化するからです。人間が「いい感じにして」と丸投げしても、AIが「=読みやすさと簡潔さを両立する、という理解でよいか」と補い、条件を具体化します。
UCLAの原論文が示した効果と限界
原論文は、日付計算や常識推論など複数のベンチマークで正答率の改善を報告しています。特に、人間には自明でもAIが取り違えやすい問いで効果が出やすいと示されています。
ただし論文は万能とは述べていません。効果はタスクとモデルに依存し、すべての質問で精度が上がるわけではありません。「必ず上がる」と断定する解説は誇張です。効く条件を見極めて使うのが前提になります。出典はarXiv上で誰でも確認できます。
RaRプロンプトのやり方|One-step版とTwo-step版

RaRには2つの型があります。1回のプロンプトで言い換えと回答を同時に行うOne-step版と、言い換えと回答を分けるTwo-step版です。用途で選び分けます。
One-step版|社会人の個人利用はまずこれ
One-step版は1つのプロンプトで完結します。原論文でも推奨されている基本形で、コピペしてすぐ使えます。以下が雛形です。
「次の質問を、より明確で誤解のない形に言い換えてください。その上で、言い換えた質問に回答してください。質問:〔ここに元の質問〕」
個人利用で1つだけ覚えるなら、このOne-step版を選んでください。言い換え結果が見えるので、AIの解釈がズレていればその場で気づけます。ChatGPTでもGeminiでもClaudeでも同じ形で動きます。
Two-step版|検証や重要文書で使う
Two-step版は、まずAIに言い換えだけを出させ、内容を確認してから回答を依頼します。手間は増えますが、言い換えの妥当性を人間がチェックできます。
職務経歴書や提案書など、外に出す文書で使う価値があります。言い換えが的外れなら、そこで軌道修正できるからです。日常の下書きならOne-step版で十分です。
RaRを使わない基準・逆効果になる条件

RaRは万能ではありません。ここが他の解説記事で抜けがちな点です。意図がすでに明確な質問にRaRをかけると、余計な言い換えで指示がぶれます。
使わない方がよい典型を挙げます。以下に当てはまるなら、素直に指示を書く方が速くて正確です。
- 定型作業:翻訳、文字数指定の要約、フォーマット変換など手順が固定の依頼
- 専門特化の指示:法律条文の抽出やコード修正など、言い換えると論点がずれる作業
- 長文業務:数千字の資料処理。言い換え分だけトークンと時間を消費する
- 意図が既に明確な質問:条件や出力形式を自分で書き切れている場合
逆に効くのは「なんとなく」で始まる依頼です。プロンプトが効かない原因を切り分けたい人は、プロンプトが効かない原因5つ|症状別診断と直し方【コピペ例付き】もあわせて確認すると、RaRを使う前に直すべき点が見えます。
CoT・Step-back・Self-Ask・メタプロンプトとの違いと使い分け

RaRは「質問を言い換える」手法で、CoTなど他の技術とは狙いが違います。混同すると使いどころを外します。まず違いを整理します。
CoT(思考の連鎖)は答えに至る過程を段階的に書かせる技術です。RaRは問いの入口を整える技術で、両者は併用できます。RaRは「問いを直す」、CoTは「答えを段階的に導く」で、担当する場所が異なります。
| 技術 | 狙い | 効く場面 | 使わない場面 |
|---|---|---|---|
| RaR(Rephrase and Respond) | 曖昧な質問をAIに言い換えさせる | 意図がぼやけた依頼 | 定型・専門特化・長文 |
| CoT(思考の連鎖) | 回答過程を段階化する | 計算・多段推論 | 単純な事実確認 |
| Step-back | 抽象度を上げて前提から考える | 原理・背景を問う問題 | 即答が要る作業 |
| Self-Ask | サブ質問を自問自答させる | 多段の調査系質問 | 単問の依頼 |
| メタプロンプト | AIにプロンプト自体を作らせる | 指示設計そのものが不明 | 指示が既に固まっている |
Step-backは前提から考え直す技術で、詳細はステップバックプロンプトとは?CoTとの違いと使わない基準【保存版】で解説しています。プロンプト設計自体をAIに任せたいならメタプロンプトとは?AIにプロンプトを作らせる技術の効果と使い方が参考になります。
「知っている」で止めない生成AIスキルの証明|PEP検定
PEP検定が問うのは基礎的な知識はもちろん、実務においてどのように生成AIを活用するか、プロンプトを設計するかなど“実際に使いこなす力”です。日本初の実務特化検定で、AIエージェントのように動きの速い領域もシラバスが追従。学び直しの成果を、転職・副業・社内評価で通用する客観的な根拠に変えられます。
- ✓知識で止めず、プロンプト設計など“手を動かして使う力”を測る
- ✓CBTで全国いつでも受験可能
- ✓個人の転職・副業から、社員のリスキリング成果の証明まで対応
監修|北海道大学大学院 情報科学研究院 川村 秀憲 教授
人工知能・マルチエージェントシステム研究の第一人者。観光情報学会理事ほか。
副業・転職の実タスク向けRaRコピペ雛形
RaRは実務でこそ差が出ます。ここでは職務経歴書・提案書・要約・メール返信の4場面で、そのまま貼れるOne-step版を用意しました。〔〕内を差し替えてください。
職務経歴書・提案書・要約・メール返信の雛形
- 職務経歴書:「次の依頼を、採用担当が実績を評価しやすい形に言い換えてから対応してください。依頼:〔経歴メモ〕を職務経歴書の実績欄に整える」
- 提案書:「次の質問を、提案の目的と相手の利益が明確になるよう言い換えた上で回答してください。質問:〔サービス概要〕の提案骨子を作る」
- 要約:「次の指示を、対象読者と要約の目的を補って言い換えてから実行してください。指示:〔本文〕を要約する」
- メール返信:「次の依頼を、相手との関係とトーンを明確にして言い換えた上で返信案を作ってください。依頼:〔受信メール〕への返信」
ポイントは、元の依頼が曖昧なほどRaRが効くことです。「要約して」だけの一行依頼にこそ、言い換えの補正が効きます。すでに読者層と文字数を指定済みなら、RaRは省いて直接依頼してください。
RaRの効果を自分で確かめるbefore/after検証手順
効くかどうかは自分のタスクで測るのが確実です。他人のベンチマークより、あなたの実タスクの結果が判断材料になります。以下の手順で比較します。
- 自分がよく使う曖昧な依頼を1つ選ぶ(例:営業メールの下書き)
- before:普段どおりの依頼で回答を出す
- after:同じ依頼にRaRのOne-step版をかけて回答を出す
- 両者を「意図の一致」「修正の手間」「使えるか」の3点で採点する(各5点)
- 3〜5タスクで繰り返し、after合計がbeforeを上回るか確認する
判断基準は明快です。afterが平均で2点以上高ければ、そのタスクにRaRは向いています。差が出ないか下がるなら、そのタスクでは使わない方が速いです。感覚ではなく、before/afterの点数で採否を決めてください。
RaRで鍛わる「言語化力」とPEP検定の評価軸
RaRを使うと、自分の依頼のどこが曖昧かが見えます。AIの言い換えは、あなたの言語化の穴を映す鏡になります。この気づきがプロンプト設計の土台です。
「質問をAIに言い換えさせる力」は、裏を返せば「意図を明確に言語化する力」です。AIの言い換えを見て自分の言葉を直せる人ほど、プロンプトの精度が上がります。この力は生成AI活用スキルの評価軸とも重なります。
体系的に鍛えたい人は、評価軸を先に知ると学習が速くなります。PEP検定の勉強法を公式シラバスから逆算|難易度・勉強時間・受験手順を解説で、言語化と指示設計がどう問われるかを確認しておくと、日々のRaR練習が検定対策にもつながります。
よくある質問
RaRとCoTはどちらを先に使うべきですか?
質問が曖昧ならRaRを先に、その上で推論が必要ならCoTを重ねます。入口を整えてから思考を段階化する順です。単純な事実確認なら、どちらも不要です。
RaRを使うと回答が遅くなりませんか?
言い換え分だけ出力が増え、わずかに時間とトークンを消費します。長文業務では無視できない差になります。曖昧な単問でだけ使い、定型・長文では外すのが効率的です。
One-step版とTwo-step版のどちらを覚えればよいですか?
社会人の個人利用ならOne-step版で十分です。言い換えと回答が同時に見え、ズレをその場で直せます。外部提出の重要文書だけTwo-step版に切り替えてください。
RaRは日本語でも効きますか?
日本語の依頼でも言い換えは機能します。ただし原論文の検証は主に英語タスクです。日本語での効果は自分のbefore/after検証で確かめるのが確実です。
RaRを使えばプロンプトが下手でも大丈夫ですか?
補正はしますが、依頼の目的が自分でも不明なら効果は限定的です。AIは意図を推測するだけで、あなたが持っていない目的までは作れません。まず目的を一言で書けるかを確認してください。
「知っている」で止めない生成AIスキルの証明|PEP検定
PEP検定が問うのは基礎的な知識はもちろん、実務においてどのように生成AIを活用するか、プロンプトを設計するかなど“実際に使いこなす力”です。日本初の実務特化検定で、AIエージェントのように動きの速い領域もシラバスが追従。学び直しの成果を、転職・副業・社内評価で通用する客観的な根拠に変えられます。
- ✓知識で止めず、プロンプト設計など“手を動かして使う力”を測る
- ✓CBTで全国いつでも受験可能
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監修|北海道大学大学院 情報科学研究院 川村 秀憲 教授
人工知能・マルチエージェントシステム研究の第一人者。観光情報学会理事ほか。
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