Self-Askプロンプトとは?CoT・ReActとの違いと使い分け

Self-Askプロンプトとは?CoT・ReActとの違いと使い分け

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リスキルAIキャリア編集部

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Self-Askは、最終回答の前に「追加質問が必要か」を判定する手法です。フォローアップ質問と中間回答を積み上げてから答えます。効くのは「サブ問題は解けるのに、合成すると間違える」多段質問です。

単ホップの質問や要約・翻訳に使うと、遅く冗長になるだけです。この記事ではCoT・ReAct・RAGとの違い、日本語の入力と出力サンプル、使わない判断ラインまで整理します。

この記事で覚えること

この記事で覚えること
  • Self-Askは、回答前に「追加質問が必要か」を判定し、フォロー質問と中間回答を積み上げる手法
  • 向くのは「2ホップ以上の事実確認」や「複数条件の突き合わせ」
  • 向かないのは、翻訳・要約・単純質問・ブレスト
  • CoTとの違い:推論を文章で流さず、質問と中間回答に分ける
  • ReActとの違い:ツール実行は必須ではない。検索接続するとReAct/RAGに近づく
  • PEP検定対策では「どのタスクにどの手法を選ぶか」の判断問題として押さえる

Self-Askは名前を覚えるだけでは使えません。PEP検定対策でも、CoT・ReAct・RAG・Self-Consistencyとの使い分けまで整理しておく必要があります。

Self-Askプロンプトとは?意味と仕組み

Self-Askプロンプトとは?意味と仕組み

Self-Askは、モデルが最終回答の前に「フォローアップ質問が必要か」を自問する手法です。自分で下位質問を立て、中間回答を積んでから合成します。出典はOfir Pressらの原論文です。一次情報を追える形で整理します。

項目 内容
論文 Measuring and Narrowing the Compositionality Gap in Language Models
著者 Ofir Press, Muru Zhang, Sewon Min, Ludwig Schmidt, Noah A. Smith, Mike Lewis
arXiv arXiv:2210.03350(2022年10月初出、改訂版あり)
公式実装 GitHub: ofirpress/self-ask
主な評価対象 多ホップ質問、事実合成タスク(英語)
注意点 日本語タスク、転職書類、契約書レビューでの定量評価は論文対象外

この記事の実務例は、原論文の評価結果そのものではありません。論文で確認されているのは主に英語の多ホップ事実質問です。日本語業務で使う場合は、後述の10問テストで自分のタスクに合うか確認してください。

compositionality gap(合成推論の落とし穴)とは

compositionality gapとは、サブ問題を個別には正解できるのに、合成した問いを間違える割合です。論文では「A国の首相の出身大学は?」のような2ホップ質問で計測しています。

構造は3段です。①「A国の首相は誰か」は正解できる。②「その人物の出身大学は」も正解できる。③しかし①②を一気に問うと、中間の橋渡しを飛ばして誤答する。この③のズレが落とし穴です。

論文は2ホップ質問を集めた「Compositional Celebrities」(約8.6千問・17カテゴリ)と、手作りの難問「Bamboogle」(125問)で検証しています。モデルはGPT-3(davinci系)です。報告されたcompositionality gapは約4割で、モデルを大きくしても大きくは縮まなかったとされています。正確なスコアは原論文のTableを確認してください。

改善策として、各フォロー質問を検索に投げる「Self-Ask + Search」が提示されました。BamboogleでSelf-Ask + Searchが通常プロンプトやCoTを上回る正答率を示したと報告されています。論文では検索接続時の改善が報告されている、という位置づけで押さえてください。

定型フロー(追加質問→中間回答→最終回答)

Self-Askは決まった書式で動きます。公式実装のプロンプトは次の型で構成されます。

  1. Are follow up questions needed here:(追加質問が要るかを判定)
  2. Follow up:(下位質問を1つ出す)
  3. Intermediate answer:(その中間回答)
  4. Follow upとIntermediate answerを必要回数くり返す
  5. So the final answer is:(合成した最終回答)

この「自問→中間回答→最終回答」の型が本体です。日本語でも同じ構造をそのまま再現できます。

どのモデルで効くか(GPT-4o・Claude等)

Self-Askの構造はGPT-4o、Claude 3.5系、Geminiでも再現できます。ただし最新モデルは多ホップ推論を内部で行う傾向があります。単純な2ホップでは、明示分解の効果が小さい場合もあります。

効果が出やすいのは、中間回答を人が検証したい場面です。監査可能性を上げたいなら、モデル性能に関わらずSelf-Askの明示分解が有効です。

Self-AskとCoT・ReAct・Least-to-Mostの違い

Self-AskとCoT・ReAct・Least-to-Mostの違い

4手法以上の違いは「使う場面」と「選ぶ判断基準」で整理できます。PEP検定では名称暗記より選択判断が問われます。まず表で全体像をつかんでください。

手法 使う場面 使わない場面 典型プロンプト 覚える判断基準
CoT 計算、手順化、論理推論 最新情報・外部情報の調査 ステップごとに考えて 1本の推論で足りるならCoT
Self-Ask 2ホップ以上の事実合成、条件突き合わせ 単発質問、要約、翻訳 追加質問が必要か→フォロー質問→中間回答 中間事実を複数集めて合成するならSelf-Ask
ReAct 検索、DB、API、ブラウザ操作 ツール不要の推論 Thought→Action→Observation 外部行動が必要ならReAct
Least-to-Most 難問を先に分解して順に解く 次の問いが状況で変わるタスク まずサブ問題に分ける 分解順を固定できるならLeast-to-Most
Self-Consistency 答えのばらつきを多数決で抑える 低コストで1回だけ答えたい 複数回解いて多数決 安定性を上げたいなら併用

PEP検定対策では、名称暗記より「どのタスクにどの手法を選ぶか」が問われると考えてください。例:「競合2社の料金差を調べる」はSelf-AskまたはReAct、「文章を200字に要約する」は通常プロンプト、「外部サイトを確認して回答する」はReAct寄りです。

検定対策では、次のように覚えると判断を間違えにくくなります。

  • 推論を順に進める:CoT
  • 中間質問に分ける:Self-Ask
  • 外部ツールを使う:ReAct
  • 検索結果を根拠にする:RAG
  • 複数回答から安定させる:Self-Consistency

この分類を説明できない場合、PEP検定のプロンプト設計分野で失点しやすいです。出題範囲はPEP検定の出題範囲と勉強法で確認してください。

CoTとの違い

CoTは推論を1本の文章で流します。Self-Askはそれを「質問と中間回答のペア」に区切ります。どこで橋渡しが必要かを質問として可視化する点が、主な差です。CoTの基礎は思考の連鎖プロンプトの記事で確認してください。

ReActとの違い

ReActは「Thought→Action→Observation」でツールを必ず動かします。Self-Askは検索を挟まず内部知識だけで完結できます。各フォロー質問に検索を接続すると、ReActの入口として使えます。実装目線の差はReActプロンプトの記事が詳しいです。

Least-to-Most・Self-Consistencyとの違い

Least-to-Mostは先に全サブ問題を並べてから順に解きます。Self-Askは「次に何を聞くか」を逐次生成します。Self-Consistencyは複数回サンプリングして多数決を取る安定化技術で、用途が違うので併用できます。段階分解の設計はLeast-to-Mostの記事を参照してください。

Self-Askプロンプトの使い方とコピペ例文

Self-Askプロンプトの使い方とコピペ例文

実務では英語トークンを日本語に置き換えるだけで動きます。まず汎用テンプレ、次に入力と出力のサンプルを3本示します。そのまま真似できる形にしました。

日本語プロンプトの定型テンプレ

以下をコピペして使えます。

追加の質問が必要か?:
フォロー質問:
中間回答:
フォロー質問:
中間回答:
最終回答:

最初の「追加の質問が必要か?」を抜くと、通常のCoTに近い出力になりやすくなります。この分岐を必ず先頭に残してください。

例1:競合調査で料金差を出す

入力:「Notion AIとChatGPT Plusを副業ライター目線で比較してください。月額料金、主な用途、日本語文章作成の使いやすさを踏まえ、どちらを先に契約すべきか答えてください。」

Self-Ask形式の出力例:

  • 追加の質問が必要か?:はい。
  • フォロー質問:Notion AIの月額料金はいくらか?
  • 中間回答:ワークスペース単位で追加料金が発生する。正確な金額は公式ページで確認が必要。
  • フォロー質問:ChatGPT Plusの月額料金はいくらか?
  • 中間回答:OpenAI公式ではChatGPT Plusは月額20ドル。
  • フォロー質問:副業ライターに必要な用途は何か?
  • 中間回答:構成案、見出し案、本文下書き、リライト、要約が中心。
  • 最終回答:単体で文章作成に使うなら、まずChatGPT Plusを優先。Notion内で原稿管理まで行うならNotion AIも候補。

価格は変わります。必ず各公式料金ページへのリンクを添え、内部知識だけで古い価格を出さないでください。

例2:職務経歴書の実績を深掘りする

入力:「営業事務として請求書処理を効率化した経験を、職務経歴書に書ける実績に変換してください。」

出力例:

  • 追加の質問が必要か?:はい。
  • フォロー質問:効率化前の課題は何か?
  • 中間回答:請求書確認が手作業で、入力ミスと確認待ちが発生していた。
  • フォロー質問:本人が行った具体行動は何か?
  • 中間回答:Excel関数でチェック表を作り、入力漏れと金額差異を検出できるようにした。
  • フォロー質問:数値成果はあるか?
  • 中間回答:月末処理の確認時間を約6時間から約3時間に短縮した。
  • 最終回答:請求書処理フローを見直し、Excel関数のチェック表で確認を標準化。月末の確認時間を約6時間から約3時間へ短縮した。

1問1答で埋めるより、抜けている論点を質問として顕在化できるのが利点です。チームで職務経歴書の書式や実績言語化の型をそろえたい場合は、Self-Askの分解手順を社内標準にすると再現しやすくなります。業務標準化まで踏み込むなら、法人研修でプロンプト設計の共通ルールを整えるのが近道です。

例3:PEP検定の判断問題として覚える

問題:「最新の補助金情報を調べ、対象条件と申請期限を確認して回答したい。最も適した設計はどれか。」

Self-Askでの考え方:

  • 追加の質問が必要か?:はい。
  • フォロー質問:補助金情報はモデル内部知識だけで足りるか?
  • 中間回答:足りない。最新情報のため公式サイト確認が必要。
  • フォロー質問:質問分解だけで足りるか?
  • 中間回答:足りない。検索またはWeb参照が必要。
  • 最終回答:Self-Ask単体ではなく、Self-Askで確認項目を分解し、検索・RAG・ReActで公式情報を取得する設計が適切。

プロンプト設計の全体像はプロンプトフレームワーク9選で補完してください。

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Self-Askを使うかどうかの判断ライン

向かない場面で使うと、往復が増えて遅く冗長になります。次のうち2つ以上に当てはまるならSelf-Askを使います。

  • 答える前に確認すべき中間事実が2つ以上ある
  • 「AのBのC」のように、問いが2段以上つながっている
  • 複数の条件を突き合わせる必要がある
  • 途中の事実が間違うと最終回答も崩れる
  • 検索クエリに分解できる

逆に、次の条件なら使いません。

  • 30秒以内に一問一答で答えられる
  • 中間質問が1つ以下
  • 出力品質よりスピード優先
  • 文章の要約・翻訳・言い換えが目的

中間事実を複数集めて足し合わせると結論が出る問いだけが、Self-Askの適地です。原論文の検証は事実合成タスク中心で、算数や論理パズルはベンチ対象外です。

Self-Ask×検索エンジン(RAG/ReActへの橋渡し)

Self-Askは検索接続で効果が出やすい手法です。論文は各フォロー質問を検索に投げる「Self-Ask + Search」で精度が上がると報告しています。

実装では、フォロー質問がそのまま検索クエリになります。中間回答に検索結果を差し込めば、RAGの検索クエリ生成器として機能します。Self-Askは「質問を自動生成する層」、ReActは「行動を実行する層」と分けると設計を整理できます。

段階としては、①Self-Askで質問分解を試す→②古い・未知の事実で誤答したら検索を接続→③ツール操作が要るならReActへ移行、という順が実務的です。いきなりReActを組むより保守が楽になります。

CoTとSelf-Askの出力差を検証する手順

向き不向きは自分のタスクで測るのが最短です。同一問題をCoTとSelf-Askで走らせ、差を記録します。次のシートをそのまま使ってください。

No. 質問 種類 CoTの正誤 Self-Askの正誤 中間回答ミス 出力時間 トークン量 採用判断
1 A社とB社の料金差は? 事実合成
2 この文章を100字で要約 要約
3 第3条と第9条は矛盾するか 条件突き合わせ

採用判断の目安は次のとおりです。

  • 事実合成タスクでSelf-Askの正答が2問以上増えるなら採用候補
  • 単純タスクで出力時間やトークン量が1.5倍以上になるなら使わない
  • 中間回答が誤る場合はSelf-Ask単体ではなく検索接続を検討

合成質問で正答が伸び、単ホップで冗長になるなら想定どおりの結果です。この2軸を自分のデータで見れば、導入判断を数字で下せます。

PEP検定を受けるなら、このシートをそのまま演習にしてください。「このタスクはSelf-Askか、CoTか、ReActか」を理由つきで判定できる状態が、受検前の最低ラインです。判定の型はPEP検定で問われるプロンプト設計で確認できます。

よくある質問

Self-Askプロンプトの基本形は?

基本形は次の5行です。

追加の質問が必要か?:
フォロー質問:
中間回答:
フォロー質問:
中間回答:
最終回答:

最初の「追加の質問が必要か?」を抜くと、通常のCoTに近い出力になりやすくなります。

Self-Askのデメリットは?

主なデメリットは3つあります。

  1. 出力が長くなり、トークンコストが増える
  2. 中間回答が間違うと、最終回答も間違う
  3. 単純な質問では遅いだけになる

料金・制度・ニュースなど変わる情報は、Self-Ask単体ではなく公式情報の検索と組み合わせてください。

Self-AskとRAGの違いは?

Self-Askは「何を調べるべきか」を分解する手法です。RAGは「外部文書を検索して回答に使う」構成です。Self-Askで検索クエリを作り、RAGで根拠文書を取得する、という組み合わせができます。

Self-AskはCoTの上位互換ですか?

上位互換ではありません。多ホップの事実合成ではSelf-Askが有利ですが、単純な逐次計算はCoTで十分です。原論文もCoTの改良として位置づけており、置き換えではなく使い分けが妥当です。

日本語でも精度は出ますか?

構造は再現できます。ただし日本語での定量ベンチは論文にありません。英語トークンを日本語に直しても、「追加質問が必要か」の分岐を残せばフォロー質問の生成は機能します。

ReActとどちらを先に学ぶべきですか?

ツール実行の前に質問分解を理解したいならSelf-Askが先です。検索やAPI操作を学びたいならReActからでもよいです。質問分解を押さえてから行動実行に進むと、設計を分けやすくなります。

算数や論理パズルに使えますか?

原論文の検証対象外です。事実合成タスク中心で評価されており、算数・論理パズルでの効果は未検証です。逐次計算はCoTやプログラム実行の方が確実です。

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