この記事の監修者
リスキルAIキャリア編集部
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Graph of Thoughts(GoT)プロンプトは、思考を「グラフ」として扱い、複数の推論を集約・再評価するフレームワークです。この記事では、チャットで試せるコピペ用テンプレを最初に示します。そのうえで、ToT・CoTとの違いと、副業・転職の実務で「使う/使わない」を分ける基準を用途別の表で解説します。
結論を先に言います。個人のキャリア用途では、GoTが過剰になる場面が大半です。まず通常プロンプト、プロンプトチェーン、ToTを使い分けられる方が、成果に直結します。
GoTは「整理されたプロンプト1発」ではありません。本来は、コントローラ、スコアリング、集約処理を組み合わせるフレームワークです。この誤解を正すことが、この記事の狙いです。
コピペ用:Graph of Thoughts風プロンプト

まず試したい人向けに、チャットで使えるテンプレを置きます。{ }の部分を自分のタスクに書き換えてください。GPT系・Claude系のどちらでも同じ流れで動きます。
以下のタスクを、Graph of Thoughts風に処理してください。
【タスク】
{ここに依頼内容を書く}
【進め方】
1. タスクを3〜5個の部分問題に分解する
2. 各部分問題について、独立した解決案を2案ずつ出す
3. 各案を以下の基準で10点満点評価する
- 正確性
- 実行しやすさ
- 抜け漏れの少なさ
4. 高評価の案を統合し、1つの最終案にまとめる
5. 最終案の弱点を3つ挙げる
6. 弱点を反映して、最終案を1回だけ改善する
【出力形式】
- 分解した部分問題
- 各案と評価
- 統合案
- 弱点
- 改善後の最終回答
これはGoTの完全再現ではなく、チャット上での手動近似です。原論文のGoTは、思考の生成・評価・集約・改善をプログラムで制御するフレームワークです。チャット欄だけでは自動スコアリングやループ制御はできません。
Graph of Thoughtsプロンプトとは?結論から

GoTは、LLMの中間思考を「頂点(thought)」、思考どうしの依存関係を「辺(edge)」で表す推論手法です。CoTの直線、ToTの木を一般化し、複数の思考を合流(集約)させたり、ループさせたりできます。提唱したのはETH Zurichのグループで、論文名は「Graph of Thoughts: Solving Elaborate Problems with Large Language Models」です。
個人の副業・転職実務ではToT・分解で足りる場面が多い
日常の文章作成・要約・企画・コード修正では、GoTの本来の効果を出しづらいです。GoTが効くのは「分割した部分解を合流させると質が上がる」タスクに限られます。ソートや集合演算のように、部分結果を統合できる構造がある問題が典型です。
副業・転職の実務では、まずプロンプトチェーン(分解)とToTで足ります。GoTを検討するのは、それらで精度が頭打ちになってからで遅くありません。
Graph of Thoughtsプロンプト例:チャットでできる手動近似

チャットでGoTを完全再現はできませんが、部分的に近似はできます。使い方の要点は「分割→評価→集約→再評価」を明示的に指示することです。ここではチャットで再現できる範囲と、できない範囲を線引きします。
検証環境は2026年8月時点の一般的なチャット版LLM(GPT系・Claude系)を想定しています。以下は、手動で試す場合の手順です。
- タスクを3〜5個の部分問題に分割させる(例:長文を段落ごとに要約)
- 各部分解を個別に出力させる
- 「各案を0〜10点で採点し、根拠を書け」と評価を指示する
- 「上位案を統合して1つの解にまとめよ」と集約を指示する
- 「統合結果を再採点し、弱点を1回だけ改善せよ」と再評価ループを1周入れる
手動GoTの肝は「集約」と「再評価」を1文ずつ明示することです。ここを省くと、ただのToTや箇条書き要約に戻ります。
実行例:副業案件の提案文を改善する
抽象的な手順だけでは転用しにくいので、副業タスクで具体化します。入力と出力の流れは以下のとおりです。
入力例:クラウドソーシングで、生成AIを使った記事構成作成の案件に応募します。提案文をGraph of Thoughts風に改善してください。
出力の流れは次のようになります。
- 部分問題に分解:実績の見せ方/生成AIスキルの示し方/納期・作業範囲の明確化/発注者の不安解消
- 各案を評価:実績訴求案は8点(信頼は上がるが実績が少ない人には使いにくい)、作業手順訴求案は9点(初心者でも再現しやすく発注者が判断しやすい)、低価格訴求案は4点(差別化にならず単価を下げるだけになりやすい)
- 統合後の提案例:手順訴求案を軸に実績訴求を補足として組み込む
統合後の提案文の例は次のとおりです。「はじめまして。記事構成作成の案件に応募します。私は生成AIを使って、検索意図の整理、競合見出しの比較、構成案の作成まで対応できます。作業では、まず上位記事の見出しを確認し、読者の悩みを分類したうえで、H2・H3構成を作成します。納品物には、見出し案だけでなく、各見出しで書く内容の要点も付けます。初稿は〇日以内に提出可能です。」
この用途なら、GoTでなくプロンプトチェーンでも足ります。評価軸を置いて改善するだけで品質が出るからです。GoTは、部分解を統合して初めて質が上がる場面のための手法です。
Graph of Thoughtsの仕組みとCoT・ToTとの違い

GoTの核は「思考の構造」の違いです。CoTは1本の鎖、ToTは分岐する木、GoTは合流とループを許すグラフです。構造が自由になるほど、実装で管理すべき要素(生成・評価・集約・停止)が増えます。
CoT:一直線に考える
A → B → C → 結論
ToT:複数の枝を出して、よい枝を選ぶ
B1
A → B2 → 最良の枝を選ぶ
B3
GoT:複数の枝を出し、途中で合流・再評価する
B1 ┐
A → B2 ├→ C(統合)→ D(再評価)→ 結論
B3 ┘
ToTは「選ぶ」手法です。GoTは「統合する」手法です。この違いがあるため、GoTは単なるプロンプトではなく、生成結果を管理する仕組みが必要になります。
CoT/ToT/GoT/プロンプトチェーンの違い(比較表)
| 手法 | 思考の構造 | 集約の有無 | 実装の重さ | 向くタスク |
|---|---|---|---|---|
| CoT | 直線(1本) | なし | 軽い(プロンプトのみ) | 段階的な推論・計算 |
| プロンプトチェーン | 工程を分割し直列 | 基本なし | 軽〜中 | 業務の分解・工程化 |
| ToT | 木(分岐) | なし(枝を選択) | 中(探索制御が必要) | 探索・複数案の比較 |
| GoT | グラフ(合流・ループ) | あり(複数思考を統合) | 重い(コントローラ実装) | 部分解を統合できる問題 |
GoTだけが「複数の思考を1つに集約する」操作を正式に持ちます。ToTは枝を選ぶだけで、枝どうしを合成はしません。
GoTがフレームワークである理由
GoTは1回のプロンプトでは完結しません。論文の実装は、思考を管理するコントローラ、各思考を採点するスコアリング、思考を統合する集約処理を分けて持ちます。LLM呼び出しを何度も回し、その途中結果をプログラムで並べ替え・評価・合成する仕組みです。
この構造を理解すると、「チャット欄に一文貼れば本来のGoT」という説明が不正確だと分かります。チャットで書けるのは、手動近似だけです。GoTの自動集約と再評価ループは、外部の制御ロジックが前提になります。
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API実装が必要な範囲
自動化と再現性を求めるなら、API実装が必要です。手動では回数や採点基準がぶれ、同じ品質を安定して出せません。次の要件が出たら、チャットでの近似ではなくコード実装に切り替えます。
- 数十件以上を同一手順で処理し、結果を再現したい
- スコアで自動的に枝を刈り、閾値で停止させたい
- 集約を10回以上ループし、コストを計測・最適化したい
- 部分解の依存関係が複雑で、人手で追えない
GoT実装の最小イメージ
実装で何をするかを疑似コードで示します。関数名はイメージであり、実在する自社実装ではありません。
thoughts = generate_sub_solutions(task)
scores = score(thoughts)
selected = select_top(thoughts, scores)
merged = aggregate(selected)
improved = refine(merged)
final_score = score(improved)
return improved
実際のGoTでは、この流れをタスクに応じて複数回回します。ポイントは、LLMに一度聞いて終わりではない点です。生成・評価・選択・統合・改善を、外側のプログラムで制御します。公式実装は著者らのGitHubリポジトリで公開されています。
Graph of Thoughtsプロンプトを「使わない基準」(損益分岐)
GoTは部分解を統合できるタスクでは有効ですが、実装と呼び出しコストが増えます。損益分岐は「集約で質が跳ねるか」と「実装コストを回収できる頻度か」の2点です。以下のチェックで、1つでも当てはまればGoTは過剰の可能性が高いです。
- 部分解を統合しても質が上がらない(要約・翻訳など単発が多い)
- 実行頻度が低く、月に数回しか使わない
- ToTやプロンプトチェーンで既に十分な精度が出ている
- コード実装の時間を確保できず、手動運用のまま止まる
- 採点基準を客観的に定義できない(好み・文体など主観が支配的)
用途別:GoTを使う/使わないの判定表
自分の業務で判断できるよう、用途別の目安を表にしました。GoTの必要性が「低」なら、通常プロンプトかToTで足ります。
| タスク | GoTの必要性 | 推奨手法 | 理由 |
|---|---|---|---|
| メール文作成 | 低 | 通常プロンプト | 分割・集約しても品質差が出にくい |
| 記事タイトル案出し | 低〜中 | ToT | 複数案を比較すれば足りる |
| 転職面接の想定問答 | 中 | プロンプトチェーン | 質問分類→回答作成→添削で十分 |
| 副業提案文の改善 | 中 | プロンプトチェーン/ToT | 評価軸を置けば改善できる |
| 大量レビューの分類と統合 | 高 | GoT/API実装 | 部分集計を統合する価値がある |
| 複数資料からの要件整理 | 高 | GoT/API実装 | 部分解の依存関係と集約が発生する |
| コード修正の原因探索 | 中〜高 | ToT/GoT | 複数原因の比較・統合が必要な場合がある |
個人の副業・転職準備では、GoTを最初に学ぶ必要はありません。まず通常プロンプト、プロンプトチェーン、ToTを使い分けられる方が、成果に直結します。手法の使い分けはプロンプトのフレームワーク9選も参考になります。
GoTより先に固めるべき生成AIスキル
副業・転職で評価されるのは、珍しい手法名を知っていることではありません。次の順番で使える方が、実務では通用します。
- 通常プロンプトで、条件・制約・出力形式を指定できる
- プロンプトチェーンで、業務を工程に分けられる
- ToTで、複数案を比較して選べる
- GoTで、複数の部分解を統合する必要性を説明できる
- APIや自動化が必要な場面を判断できる
面接や提案文では、成果と根拠をセットで語れる人が評価されます。たとえば「要約はCoT、企画の案出しはToT、大量文書の統合だけGoTを実装」と役割分担を示せると、手法選定の理由を説明できます。手法の名前より、タスクへの割り当て基準を持つことが、面接や提案文での説明力になります。
PEP検定では、生成AIの基本概念、プロンプト設計、業務活用、リスク理解を確認できます。GoTのような応用手法に進む前に、自分の知識の抜けを確認したい人は、まず出題範囲を確認してください。学習の順序を組みたい人はPEP検定の勉強法で全体像を掴むと、独学の抜け漏れを減らせます。
一次情報(原論文・実装)
数値や適用範囲は、必ず一次情報で確認してください。参照先は以下のとおりです。
- 論文:Graph of Thoughts: Solving Elaborate Problems with Large Language Models(Besta et al., ETH Zurich)/arXiv: https://arxiv.org/abs/2308.09687
- AAAI掲載情報:AAAI 2024 Proceedings内の該当ページ
- 公式実装:著者らのGraph of Thoughts GitHubリポジトリ
論文のabstractは、ソートタスクでToTに対し品質を約62%改善し、コストを31%超削減したと報告しています。この数値は、論文内の特定タスクにおける結果です。メール作成、面接対策、記事構成作成などの一般業務で同じ改善率が出るとは限りません。
よくある質問
Q. ChatGPTやClaudeでGoTプロンプトは使えますか?
使えます。ただし、使えるのはGoT風の手動近似です。ChatGPTやClaudeのチャット画面だけでは、原論文のような自動スコアリング、枝刈り、ループ制御はできません。
チャットで試すなら、次の4つを明示してください。1つ目は部分問題に分ける、2つ目は複数案を出す、3つ目は評価基準で採点する、4つ目は上位案を統合して改善する、です。業務で同じ処理を何十回も回すなら、API実装を検討してください。
Q. ToTとGoTのいちばんの違いは何ですか?
複数の思考を1つに「集約」できるかどうかです。ToTは木構造で枝を選ぶだけで、枝どうしを合成しません。GoTはグラフで合流とループを許し、部分解を統合します。統合が効くタスクでGoTが有利になります。
Q. GoTを使うとコストは増えますか?
呼び出し回数が増えるため、単純比較ではコストが上がりやすいです。ただし論文はソートタスクでToT比31%超のコスト削減を報告しています。集約で無駄な探索を減らせる場合に限り、コスト効率が改善します。効果はタスク依存です。
Q. 初心者はどの手法から学ぶべきですか?
CoTとプロンプトチェーンから始めるのが実務的です。次に案出しでToTを試し、統合が必要な場面で初めてGoTを検討します。名前を覚える前に、手元のタスクで実際に使い分けてください。
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