Program of Thoughtsプロンプトとは?計算ミスを消す使い分け

Program of Thoughtsプロンプトとは?計算ミスを消す使い分け

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リスキルAIキャリア編集部

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結論から言います。数値を扱う作業でAIの計算がズレるなら、推論を文章ではなくプログラム(コード)に任せるProgram of Thoughts(PoT)プロンプトが有効です。逆に、純粋な文章推論や、コードを実行できない環境では効果が出ません。この記事は、経理・見積・売上集計などの実務で使いたい副業・転職層に向けて、PoTの意味・CoTとの違い・具体手順・使わない基準を整理します。

PoTは開発者向けの英語論文が中心で、日本語の実務解説がほぼありません。ここではChatGPTのデータ分析(Code Interpreter)やClaudeの分析ツールで、非エンジニアが「実質PoT」を再現する道筋まで落とし込みます。根拠は原論文の数値に置き、誇張はしません。

Program of Thoughtsプロンプトとは?計算をコードに任せる手法

Program of Thoughtsプロンプトとは?計算をコードに任せる手法

Program of Thoughts(PoT)プロンプトとは、AIに「考える過程」と「計算する過程」を分離させる手法です。AIは推論の道筋をPython等のコードとして書き、実際の数値計算はコード実行環境(インタプリタ)が担当します。AIは計算せず、計算はプログラムに任せるのが核心です。

提唱したのはChen et al.の論文「Program of Thoughts Prompting」(arXiv:2211.12588、TMLR 2023採録)です。実装はGitHubの wenhuchen/Program-of-Thoughts で公開されています。まず一次情報を確認したい人は、この2つを起点にしてください。

PoTの仕組み:推論と計算を分離する

PoTは3ステップで動きます。第1に、問題文を読み、変数と式をコードで定義します。第2に、その式を実行環境が計算します。第3に、実行結果を答えとして返します。文章で「120×0.8=96」と書かせる代わりに、price = 120 * 0.8 を実行させるイメージです。

この分離が効く理由は明快です。大規模言語モデルは次に来る単語を予測する仕組みで、桁の多い掛け算や割り算を「暗算」させると誤差が出ます。計算そのものを外部に外せば、桁ズレや四捨五入ミスが構造的に減ります。

論文の数値:CoT比 平均+12%という再現条件

原論文の報告では、PoTはChain-of-Thought(CoT)に対して数学・財務データセットの平均で約12%の精度向上を示しました。評価対象は数学系のGSM8K・AQuA・SVAMP・TabMWP・MultiArith、財務系のFinQA・ConvFinQA・TATQAです。Zero-shot設定でも、Zero-shot PoTはZero-shot CoTを上回ったと報告されています。

ただし条件があります。この+12%は「計算をコードに落とせる問題」で得た数値です。後述のとおり、選択肢から答えを推測するAQuAのような問題では伸びが鈍る傾向が示されています。数字だけを切り取らず、再現条件込みで理解してください。

CoTとPoTの違い:使い分けの判断基準

CoTとPoTの違いは「計算を誰がやるか」です。CoT(思考の連鎖)はAI自身が文章で段階的に考えます。PoTはAIが式をコード化し、計算は実行環境が担当します。文章推論はCoT、数値計算はPoTが基本の分担です。

比較項目 CoT(思考の連鎖) PoT(Program of Thoughts)
計算の担い手 AI自身(文章内で暗算) コード実行環境(Python等)
得意な問題 文章推論・論理・場合分け 四則演算・集計・単価/利益計算
数値精度 桁が増えるとズレやすい 実行結果なので安定
必要な環境 不要(プロンプトのみ) コード実行環境が必須
論文の精度 基準 CoT比 平均+12%

CoTの基本は別記事で解説しています。書く場面と書かない基準を知りたい人は思考の連鎖プロンプトとは?2026年の使いどころと書かない基準を先に読むと、PoTとの役割分担がはっきりします。

AIの計算が苦手な理由とPoTが効く場面

AIの計算が苦手な理由とPoTが効く場面

AIに計算させると数値がズレるのは、モデルが「計算機」ではなく「文章の続きを予測する装置」だからです。特に3桁以上の掛け算、複利、消費税込みの端数処理で誤差が出ます。ここがPoTの主戦場です。

PoTが効くのは、答えが一意に決まる計算問題です。売上の合計、原価率、単価×数量、値引き後価格、月次集計などが該当します。「電卓やExcelなら確実に出る計算」ほどPoTの効果が大きいです。

なお、AIが自信満々に誤った数値を出す現象は、より広くはハルシネーションと呼ばれます。原因と対策はハルシネーションとは?原因・事例・5つの対策で整理しています。計算ズレ対策としてPoTを、事実誤りの対策として出典確認を、と使い分けてください。

ChatGPT/Claudeで実質PoTを再現する手順

ChatGPT/Claudeで実質PoTを再現する手順

非エンジニアでも、コードを1行も書かずにPoTを再現できます。ChatGPTのデータ分析(旧Code Interpreter)やClaudeの分析ツール(Analysis tool)は、内部でコードを生成・実行します。これがそのまま「実質PoT」です。

手順:計算をコードで実行させる指示の型

  1. データやCSV、または数値の一覧を貼り付ける
  2. 「暗算せず、Pythonで計算して結果を表示して」と明示する
  3. 計算式(例:粗利=売上−原価)を日本語で定義する
  4. 出力に「使ったコードと計算結果の両方」を求める
  5. 数値を目視で1件だけ検算し、式の意味が合うか確認する

プロンプト例です。「添付CSVの商品別に、売上(単価×数量)と粗利(売上×粗利率)をPythonで計算し、合計と上位5件を表で出して。暗算はせず、実行したコードも見せて」。「暗算せずコードで」の一言が、文章推論からPoTへ切り替えるスイッチです。

うまくいかない条件と検証結果

実行環境がないチャット(無料枠でツールを使えない状態や、通常のテキスト応答のみ)では、PoTになりません。「Pythonで」と書いても、実行せずコード風の文章を書いて暗算するだけの場合があります。出力に実行結果とコードが両方あるかを必ず確認してください。

また、問題文の数値定義が曖昧だと、コードは動いても前提が間違います。「税込か税抜か」「粗利率は売上比か原価比か」を先に指定しないと、正しいコードでも答えが狂います。式の定義は人間の責任範囲です。

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PoTを使わない基準:向かない場面のチェックリスト

PoTは万能ではありません。次に当てはまるなら、PoTより他の手段を選びます。向き不向きを正直に把握することが、時間の節約になります。

  • 計算がなく、文章の要約・翻訳・企画など純粋な推論が中心
  • コード実行環境がない(実質PoTが動かせない)
  • 機密データや個人情報を外部の実行環境に渡せない
  • 選択肢から推測する問題で、途中の代数変形が主役(AQuA型は伸びが鈍い)
  • 出力コードの中身を誰も検証できず、結果を鵜呑みにする運用

特に注意したいのがセキュリティです。生成されたコードを実行する行為には、想定外の動作リスクが伴います。社外秘の売上や顧客データを、実行環境へ無防備に貼らないでください。社内規程と利用サービスのデータ扱いを確認したうえで使う判断が必要です。

CoT / Self-Consistency / PoT の使い分けマップ

3手法は競合ではなく役割分担です。問題の性質で選びます。文章推論はCoT、精度の底上げはSelf-Consistency、数値計算はPoT、が土台です。

状況 第一候補 理由
論理・場合分け・企画の推論 CoT 段階的な文章思考が向く
答えが割れやすい難問 Self-Consistency 複数回答の多数決で安定化
四則演算・集計・単価/利益 PoT 計算を外部実行で正確化
計算+推論の複合 CoT+PoT併用 考えはCoT、計算はコード

回答のブレを多数決で抑える手法は、別記事で手順化しています。Self-Consistencyプロンプト|CoT多数決の正しい手順と基準を読むと、PoTと組み合わせる場面が見えてきます。計算はPoTで固め、方針判断はSelf-Consistencyで安定させる、という併用が実務では現実的です。

副業・実務での使いどころ:経理・見積・集計

PoTは、数字が1円でもズレると信頼を失う業務で価値を出します。副業・受注案件でありがちな計算作業に紐づけて整理します。ここで挙げる用途はすべて「答えが一意に決まる計算」です。

具体ユースケース:単価・利益・集計の計算

  • 見積作成:単価×数量、値引き、税込み計算をコード実行で確定
  • 売上集計:CSVから月次・商品別の合計と構成比を自動算出
  • 利益計算:原価率・粗利率・損益分岐点をコードで検算
  • データ分析:クロス集計、平均・中央値、前年比の一括算出
  • 請求チェック:手入力の合計とコード計算の差分を照合

運用のコツは「二重化」です。AIのコード結果と、自分のExcelを1件だけ突き合わせます。PoTは計算を速くしますが、式の定義と最終検算は人間が握るのが安全です。

こうしたプロンプト設計を体系的に学びたい人は、資格ベースの学習も選択肢です。設計力を測る指標としてPEP検定の勉強法を公式シラバスから逆算を参考に、手法の使い分けを言語化できる状態を目指してください。

よくある質問

Q. PoTとCoTはどちらが優れていますか?

問題によります。計算問題ではPoTがCoT比 平均+12%と報告されています。一方、計算のない文章推論ではCoTが向きます。優劣ではなく用途で選んでください。

Q. コードが書けなくてもPoTは使えますか?

使えます。ChatGPTのデータ分析やClaudeの分析ツールが、内部でコードを生成・実行します。「暗算せずPythonで計算して」と日本語で指示するだけで実質PoTになります。

Q. PoTを使えば計算ミスはゼロになりますか?

なりません。計算そのものの誤差は減りますが、式の定義や前提が間違えば結果もズレます。税込・税抜や粗利率の定義を先に指定し、1件は必ず検算してください。

Q. 機密データを扱う経理業務でも使えますか?

社内規程とサービスのデータ扱いの確認が前提です。実行環境に社外秘データを渡すリスクがあります。ダミー数値で式を作り、本番データは社内環境で処理する運用が無難です。

Q. PoTの一次情報はどこで読めますか?

原論文はarXiv:2211.12588(TMLR 2023採録)です。実装はGitHubの wenhuchen/Program-of-Thoughts で公開されています。数値や再現条件は必ず一次情報で確認してください。

次にやること

今日の一歩は「暗算せずコードで計算して」を1回試すことです。手元の見積や売上データで、ChatGPTのデータ分析かClaudeの分析ツールに投げてみてください。実行コードと結果の両方が出るかを確認します。

そのうえで、文章推論はCoT、精度の底上げはSelf-Consistency、計算はPoT、と役割を頭に入れます。手法を使い分けられる人が、AIの計算ミスに振り回されずに成果を出せます。まずは1業務で二重化しながら、PoTを日常の道具にしてください。

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