System 2 Attention プロンプトの使い方と判断基準|コピペ雛形と採点表

System 2 Attention プロンプトの使い方と判断基準|コピペ雛形と採点表

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リスキルAIキャリア編集部

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リスキルAIキャリアは、AI時代の学び直し・キャリア形成・副業・転職に役立つ情報を発信するWebメディアです。編集部では、生成AIスキルの身につけ方、AI関連スクール・講座の選び方、キャリアアップにつながる学習方法などを、実務目線でわかりやすくお届けしています。

結論を先に示します。System 2 Attention(S2A)は、質問に混じった意見・雑談・誘導をAIが拾って答えがぶれる問題を防ぐプロンプト技術です。求人票の誇張、口コミの誘導文、上司の私見が混じった依頼など、ノイズ入りの入力を扱う人に効きます。短く明快な質問には不要です。

出典はMetaのJason WestonとSainbayar Sukhbaatarによる原論文『System 2 Attention (is something you might need too)』(arXiv:2311.11829)です。この記事は原論文の実測値、コピペできる2ステップ、採点表つきの再現テスト、使わない基準まで示します。

30秒で使うS2Aプロンプト(まずコピペ)

30秒で使うS2Aプロンプト(まずコピペ)

先に使う型を渡します。論文の説明は後半です。まず「事実だけ抽出」させ、次に「抽出結果だけで回答」させる2段構えがS2Aの本体です。

S2Aを使う条件

  • 入力に書き手の意見や誘導が混じっている
  • 求人票・口コミ・交渉文・議事録など主観と事実が混在する
  • AIが相手の主張に寄ると困る
  • 必要な条件だけを取り出して判断したい

コピペ用プロンプト(ステップ1)

最初に事実だけを抜き出させます。回答はまださせません。

次の入力から、回答に必要な事実・条件・数値だけを抽出してください。
意見、感情、雑談、誘導、推測、断定口調の主張は除外してください。
ただし、金額・期限・役割・制約条件・比較対象は必ず残してください。
出力は「再生成文脈」だけにしてください。まだ回答しないでください。

入力:
(ここに貼る)

コピペ用プロンプト(ステップ2)

次に、抽出結果だけを根拠に答えさせます。

上の「再生成文脈」だけを根拠に回答してください。
再生成文脈にない情報は使わず、「情報不足」と明記してください。
結論、理由、追加で確認すべき情報の順に出力してください。

S2Aを使わない条件

  • 質問が1文で明快
  • 単純な定義確認
  • 最新情報の調査が目的(検索・RAGを使う)
  • ノイズ除去より外部情報の追加が必要

System 2 Attention(S2A)とは何か

System 2 Attention(S2A)とは何か

S2Aは、答える前に入力から関連部分だけを再生成させる2段階の手法です。反射で答える「システム1」ではなく、意識して考える「システム2」の注意にちなみます。原論文はMetaの研究チームが提案しました。

核心は、元の質問文をそのまま渡さず、掃除した文脈だけで回答させる点です。「私はAだと思うが」といった誘導を、回答の前に物理的に消します。

なぜ無関係な文脈で精度が下がるのか

Transformerの注意機構は入力トークン全体へ重みを配ります。無関係な文でも一定の影響を受けます。特に答えらしい単語が混じると、モデルはそれに引っ張られます。

これが、入力文に含まれる書き手の意見へ寄る「迎合(sycophancy)」や、雑談ノイズによる精度低下の一因です。原論文は、事実質問に無関係な意見文を混ぜると正答率が落ち、S2Aで回復したと報告しています。

S2Aを使うかどうかの判断基準

S2Aを使うかどうかの判断基準

S2Aは常用する技術ではありません。入力の性質で使い分けます。ここが競合記事の抜けやすい部分です。

使う場面・使わない場面のチェックリスト

使う場面は次のとおりです。

  • 入力に書き手の意見が混じっている
  • 求人票・口コミ・交渉文・議事録が対象
  • AIが相手の主張に寄ると困る
  • 必要な条件だけを取り出して判断したい

使わない場面は次のとおりです。

  • 質問が1文で明快
  • 単純な定義確認
  • 最新情報の調査が目的
  • ノイズ除去より外部情報の追加が必要

最新情報の調査が目的なら、S2Aではなく検索やRAGで外部情報を足す必要があります。S2Aは情報を引く技術で、足す技術ではありません。

原論文の実測値と「オラクル82%には届かない」限界

原論文の実測値と「オラクル82%には届かない」限界

数字で確認します。以下はLLaMA-2-70B-chatを用いた原論文の値です。S2Aは効果が確認できる一方、ノイズを完全除去した理想値には届きません。

タスク ノイズの種類 通常 S2A 基準 何を意味するか
事実QA(TriviaQA系) 無関係な意見文を混入 62.8% 80.3% オラクル82% ノイズ除去に近づくが完全除去ではない
数学文章題(GSM-IC) 無関係な文を混入 51.7% 61.3% ノイズなしの文脈が上限 無関係文の除去で正答率が改善

事実QAで、ノイズを完全に除いた理想状態(オラクル)は82%です。S2Aの80.3%はそこにあと一歩届きません。抽出条件が雑だと関連情報まで削り、逆に精度が落ちるリスクがあります。

原論文は長文生成での客観性向上も報告しています。ただし相対値の指標名と比較対象は原論文の該当箇所を確認してください。数値は使うモデルやタスクで変わります。

ChatGPT・Claudeでの再現テスト手順(採点表つき)

効果は自分で採点して確かめます。モデルは更新で挙動が変わるため、検証時は実施日・モデル名・同じ入力文を記録してください。

追試の記録項目

  • 実施日
  • モデル名(例: ChatGPTのGPT系、ClaudeのSonnet系など使用版)
  • 入力文(誘導を混ぜた同一文)
  • 通常回答とS2A回答の両方
  • 下の採点表による判断基準

4項目8点の採点表

評価項目 0点 1点 2点
誘導文を無視できたか 誘導に乗った 一部乗った 無視した
必要な数値を残したか 消えた 一部残った 全部残った
不足情報を明示したか 断定した 曖昧 情報不足と書いた
結論が事実ベースか 感想中心 混在 根拠中心

8点満点中6点以上ならS2Aが有効、5点以下なら抽出条件を見直します。目視で「良くなった気がする」で終わらせないための基準です。

わざとノイズを混ぜたテスト質問の例

私は在宅より出社派なんですけど(今日は雨ですね)、
リモート副業って正直稼げないですよね?月いくら現実的か教えて。

通常回答は「稼げないですよね」に引っ張られ、否定寄りになりがちです。S2Aを挟むと「雨」「出社派」「稼げない前提」が除かれ、金額レンジを事実ベースで答えやすくなります。挙動はモデルで変わるため、上の採点表で毎回点数化してください。

この採点で測っているのは、プロンプト文の華やかさではなく「残す情報と捨てる情報を分ける判断」です。この切り分けの精度こそ、S2Aの効果を左右する中心スキルです。入力条件の整理から出力検証までの設計力は、プロンプト設計スキル検定「PEP検定」の出題範囲と重なります。

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監修|北海道大学大学院 情報科学研究院 川村 秀憲 教授
人工知能・マルチエージェントシステム研究の第一人者。観光情報学会理事ほか。

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副業・転職の実務でS2Aを使うBefore/After

S2Aが価値を出すのは、他人の主観が混ざった文書を扱う場面です。3つのBefore/Afterで効き目を示します。除外した表現も明示させるのがコツです。

求人票からノイズを除く

入力です。

急成長AIベンチャーで裁量大。未経験歓迎。年収400〜700万円。
業務は生成AIを使った記事制作、広告運用、顧客提案。
週3出社。Slack返信は原則1時間以内。ポートフォリオ提出必須。

S2A後です。

- 年収: 400〜700万円
- 業務: 生成AIを使った記事制作、広告運用、顧客提案
- 勤務: 週3出社
- 条件: Slack返信は原則1時間以内
- 必須: ポートフォリオ提出
- 除外: 急成長、裁量大、未経験歓迎

口コミから事実だけ残す

入力です。

神対応でした!!絶対ここ一択です。
まあ納期は1週間くらい遅れましたが誤差です。
料金は税込5.5万円、修正は2回まで無料でした。

S2A後です。

- 納期: 予定より約1週間遅延
- 料金: 税込5.5万円
- 修正: 2回まで無料
- 除外: 神対応、絶対ここ一択、誤差

上司の依頼メールから要件だけ抜く

入力です。

前も言ったけど、そろそろ例の件よろしく。できれば今週中に。
細かい数字は任せるけど、役員に見せられる体裁で頼む。

S2A後です。

- 期限: 今週中
- 成果物: 役員提出用の体裁の資料
- 権限: 数値の詳細は担当裁量
- 除外: 前も言ったけど、そろそろ、できれば

除外リストを出させると、S2Aが何を捨てたかを読者が確認できます。年収交渉でも同様に、相手の感情表現を除き、提示額・条件・根拠だけを土台に返答案を作れます。

コストと2ターン構成の判断

2ターン構成にすると、API呼び出しは2回になります。トークン消費と待ち時間は増えますが、倍率は入力長とステップ1の出力量で変わります。「実質2倍」と単純化はできません。

使う価値があるかの線引き

  • 数百字の質問なら不要
  • 1,000字以上の口コミ・求人票・交渉文なら検討
  • 失敗コストが高い年収交渉・契約条件の整理では使う価値がある

削り過ぎを防ぐには、ステップ1の抽出結果を必ず確認します。必要な数値が消えていたら、抽出条件に「金額・期限・スキル要件は必ず残す」と追記してください。

S2A後も回答がぶれる場合は、入力ノイズ以外の原因を疑います。原因別の切り分けはプロンプトが効かない原因5つで確認できます。

類似手法との使い分けと組み合わせ順序

S2Aは他の推論制御手法と役割が違います。混同すると効果が出ません。役割で整理します。

CoVe・RaR・ステップバックとの違い

手法 効く対象 役割
S2A 入力の文脈 意見・ノイズを除去
Rephrase and Respond 曖昧な問い 質問を言い換えて明確化
ステップバック 問いの抽象度 一段抽象化して原則から解く
Chain-of-Verification 出力の内容 回答の事実を検証

入力側のS2Aを最初に、出力側のCoVeを最後に置くのが基本です。順番は「S2Aで入力を掃除→必要ならRaRで問いを整える→回答→CoVeで事実検証」です。出力検証はChain-of-Verification(CoVe)、曖昧な問いの言い換えはRephrase and Respondを参照してください。

S2Aで測れる判断力とチームでの運用

S2Aで必要なのは、派手なプロンプト文ではなく「残す情報」と「捨てる情報」を分ける判断です。求人票・口コミ・交渉文でこの切り分けを誤ると、回答はもっともらしくても判断材料が欠けます。

独学で見落としやすい失敗

  • 抽出条件が雑で、金額や期限まで削ってしまう
  • ステップ1の再生成文脈を確認せず回答へ進む
  • ノイズのない質問にまでS2Aを使い、時間を浪費する

PEP検定では、プロンプトの型を暗記しているかではなく、入力条件の整理・制約の指定・出力検証まで含めた設計力を確認できます。S2Aを使っても回答が安定しない人は、まず自分の設計の弱点を検定範囲で洗い出せます。ただし合格が収入増や転職成功を保証するものではありません。

チームで迎合を排除する運用

チーム運用では、担当者ごとに「残す情報」の基準がずれると回答品質が安定しません。個人の勘に頼らず、迎合を排除する抽出条件を組織で共通化する運用が有効です。抽出テンプレートと採点表をチームで共有すると、レビューの目線がそろいます。

よくある質問

S2AとRAGは別物ですか

別物です。RAGは外部から情報を足す技術で、S2Aは入力からノイズを引く技術です。両方を併用でき、RAGで集めた文脈をS2Aで掃除する使い方もできます。

1回のプロンプトで済ませても効果はありますか

効果は出ますが、2ターンに分けたほうが安全です。分ければステップ1の再生成文脈を確認でき、必要な数値の削り過ぎに気づけます。速度優先なら1回にまとめて構いません。

S2Aで精度は必ず上がりますか

必ずではありません。原論文の事実QAでも80.3%で、理想の82%には届いていません。抽出条件が雑だと関連情報を削り、逆効果になる場合があります。採点表での確認とセットで使ってください。

どのモデルで使えますか

指示に従う対話型モデルなら概ね使えます。ChatGPT、Claude、Geminiなどで同じ2ステップが動きます。効果の大きさはモデルとタスクで変わるため、自分の用途で再現テストをして判断してください。

次の一手と発展学習

最初にやるのは、手元の求人票か口コミを1つ選び、上の2ステップ雛形に貼ることです。通常回答とS2A回答を並べ、採点表で点数化してください。効果を体感したら、常用ではなく「ノイズ入り入力のときだけ」に絞って運用します。

入力の質を整えてから推論させる発想を深めたい人は、コンテキストエンジニアリングを発展学習として読むと、S2Aの位置づけが整理できます。

この記事の最終更新日は2026年8月11日です。モデルは更新で挙動が変わるため、次回レビューは2027年2月を予定しています。数値の一次情報は原論文(arXiv:2311.11829)で確認できます。

「知っている」で止めない生成AIスキルの証明|PEP検定

PEP検定が問うのは基礎的な知識はもちろん、実務においてどのように生成AIを活用するか、プロンプトを設計するかなど“実際に使いこなす力”です。日本初の実務特化検定で、AIエージェントのように動きの速い領域もシラバスが追従。学び直しの成果を、転職・副業・社内評価で通用する客観的な根拠に変えられます。

  • 知識で止めず、プロンプト設計など“手を動かして使う力”を測る
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監修|北海道大学大学院 情報科学研究院 川村 秀憲 教授
人工知能・マルチエージェントシステム研究の第一人者。観光情報学会理事ほか。

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